給与の差し押さえ
養育費の支払が必要になる協議離婚では、公正証書による契約が行なわれています。調停離婚や裁判離婚のように調停調書、判決文といった公的な確認書類が作成されないためです。
養育費など一定の金銭支払に関しての契約であれば、強制執行認諾約款を付した公正証書にすることで、支払い滞納が起きたときに、債務者(養育費の支払義務者)の財産差し押さえをすることができます。
公正証書を生かした離婚契約の上記メリットは広く知られるところとなっています。しかし、裁判を起こさなくても債務者の財産差し押さえができるのは、相手に差し押さえるべき財産があることが前提となります。
財産として考えられるものに金融機関の預貯金があります。預貯金は、不動産や動産と違って、差し押さえができれば、未払いとなった養育費の回収は容易なように思えます。しかし、どこの金融機関に債務者の預貯金があるのかを調査することは意外に大変なことなのです。
離婚のときに債務者の銀行支店を知っていたとしても、強制執行のときに同じ銀行支店を利用しているか分かりません。むしろ、強制執行が予想されるときに、別の銀行に預貯金が動かされると考えられます。
そのようなこともあり、債務者が勤労者であるときには、勤務先の給与の差し押さえが実効性が高い方法となります。もちろん、離婚後に勤務先が変わってしまうこともあります。そのようなときのために、公正証書では通知義務を定めます。債務者が勤務先を変えたときには、債権者へ通知する義務を課すのです。
また、養育費は、一般の債権よりも優遇されています。給与は債務者の生活のために必要なものであるため、差し押さえについて範囲の禁止が定められています。一般の債権については、給与の4分の3までが差し押さえの禁止となります。それが、養育費であると2分の1になります。
しかも、養育費は、一回の給与差し押さえを行なうと、その後も給与から差し押さえた分が支払われ続けることになります。滞納した分の養育費だけでなく、将来の養育費までが差し押さえられるのです。
したがって、債務者が堅い勤務先に勤めていると、養育費の支払についての安全性がかなり高くなります。このような場合であると、公正証書離婚は養育費の確保のために非常に有効な方法となります。
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